“やるべきこと”“できること”を地道に
「コロナ特需」といわれる状況はすでになくなっており、値上げも「一段落した」と同社の高木邦光社長は見ている。「今後は、本当に価値のある商品とそれを消費者に認知していただける提案の重要性が増してくる。潜在需要をどれだけ掘り起こせるか、知恵と手数の勝負になる」。
とりわけ小売業界の現状では、EC需要の増加により実店舗が減少していること、CVSの存在感が高まっていること、首都圏の中心市街地においてミニSMが増えていることに注目している。
「品揃えでCVSを圧倒しているミニSMであれば、お菓子は売上のプラスアルファとして貢献できる。お店の利益カテゴリーとしてお菓子売り場を提案することが専業卸の役割だ(高木社長)。
今秋冬商戦については、
「お菓子の専業卸として“やるべきこと”と“できること”を地道に行うだけ。重視するのは、各メーカーさんが持っている“ロングテール商品”。これを市場に送り出すことに注力している。既存品の中で良いモノを見つけ出し、別の良いモノや良いコトを組み合わせると、想像を超える新たな魅力を持った商品に仕上がることがある。そのようなイノベーションを多く取り揃え、お客様ごとに最適化した売場を提案している」と高木社長。
東京オフィスの仕事風景
物流面については、「小売同士の物流研究会などが盛んに行われているが、まだ物流に無頓着な小売りが多い」と高木社長は指摘する。そして、「メーカーさんも、物流に対する考え方が昭和の時代から何も変わっていないところが多い。例えば、D+1をD+2に変えても、すぐにD+3、D+4になっていく。もっと根本的に、メーカーさん自身が何に困っているのかを掘り下げて、 過剰在庫や欠品をなくしていく取り組みを始めないと、このままではますますブルウイップ効果が大きくなってメーカーさんも卸も苦しむだけだ」と続けた。
商品の値上げについては、「苦労して値上げを実施しても、見積もり合わせで価格が下がってしまう。これでは元の木阿弥。今すぐ値上げを実施しなければ、次のチャンスはなかなか巡ってこない。お菓子の価値をメーカーさんと卸が自ら貶めることだけは止めていただきたい」と高木社長。
同社の社名は、グローバルな視点と知識、ローカルな知識と地域に根差した営業活動を重視する者同士がユナイテッド(統合)することを意味する。大手NBメーカーから全国各地の中小メーカーまでの幅広い品ぞろえを追求し、Win-Winの関係を築きつつ、先人が作り上げてきた日本のお菓子産業を継承するというのが理念だ。
「それを体現するために、企業戦略を根本から見直す時期にあると考えている」(高木社長)。