世界に通用する香りのスペシャリストを育成
同社は、国内では珍しい「香りの研究所」だ。代表の角田一氏は、ロッテ出身。創業者の重光武雄氏より命を受け、入社早々から本格的なガムづくりに奔走し、おいしさの決め手となる香料やガムベースについて、徹底的に研究を続けた。
その成果が、1957年に誕生した『グリーンガム』だ。その味と香りは、当時世界で最も売れていた米国『リグレーガム』の首脳陣から「我々を凌駕している」と称賛されるほどだったという。
その後もロッテのガム事業を成功へと導く製品を次々に開発し、国内を代表するお菓子メーカーに成長飛躍させる礎を築いた。
アカデミーの事業内容は、香料製造技術や香料全般にわたるコンサルティング、香料技術者の育成を高い水準で進めるなど多岐にわたる。
特に同氏が運営し、学院長を務める「日本フレーバー&フレグランス学院」は、世界に通用する香料の開発技術者を育成するために設立された機関だ。1999年創設以降、菓子・食品業界のフレーバー部門や香料会社の調香部門、化粧品会社のフレグランス部門にスペシャリストを送り続けている。
コロナ禍以降、調香技術という新たなスキルの習得に積極的な若い世代から注目を集めており、国内はもとより、韓国など海外からの留学生を多数受け入れている。
門外不出と言われる香料の調香メカニズムを知り尽くす同氏のもとには、今もお菓子メーカーの担当者が「味替え」の相談をするために訪れるほか、化粧品会社の担当者や香料会社の担当者も自社の基材にあった香料の相談に訪れている。
また同氏の高い専門性を活かし、アカデミーでは多くのお菓子会社や香料会社からの要請を受け、企業向けの研修も実施。先輩調香師の見習いや、個性に富んだ調香師の育成に力を入れる。