手軽に食べられ、栄養価の高いピーナッツ。おつまみやスナックとして幅広い年代から愛される一方で、消費者は「柿ピー」やミックスナッツなど、ピーナッツ単品ではなくミックス混菓として消費するイメージが根強い。
「ピーナッツは消費者にとって身近すぎるせいか、話題になりにくい。栄養面や健康機能も含めたコストパフォーマンスで、ナッツ類に劣るわけではないのに」と悔しさをにじませるのは、(一社)日本ピーナッツ協会(都内中央区、鈴木隆一理事長=㈱でん六社長)の田畑繁専務理事(写真、㈱タバタ会長)だ。
コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に、ピーナッツの需要も一時的に伸長したが、新型コロナウイルスの収束に伴いその勢いも鈍化。さらにお菓子の内容量を見直す「減量値上げ」の波が押し寄せ、販売の苦戦が続いているという。
また今年3月に、食品表示法に基づく食品表示基準が改正され、加工食品に表示を義務づけるアレルギー表示の対象(特定原材料)に、くるみが追加された。以前から特定原材料だったピーナッツだが、田畑氏はこうした動きが消費者にとって「アナフィラキシーショックにより重篤な症状を起こす食品」という誤解につながることを懸念する。
同協会では、カレンダー『365日落花生2023』を、毎年製作。月ごとに「落花生はバランスの良い健康食品」「落花生はダイエットの味方」というコピーと共に、ピーナッツの高い栄養面を訴求するものの周知が進まない。
田畑氏は、「ピスタチオやアーモンドなど、ナッツ類の健康や美容効果ばかりが注目される。ピーナッツについて、正しい情報を正しく伝えていきたい」と、理解度向上に向けた更なる取組みの必要性を訴える。
(次号へ続く)