1932(昭和7)年、東京・京橋で機械輸入販売業をメインに創業。チョコレート製造は145年前の1878(明治11)年、実際にカカオが輸入出来るようになったのが1950(昭和25)年。国内初のチョコレート製造機械専門メーカーとして誕生。以来、チョコレート業界発展の歴史とともに歩み、蓄積された豊富な経験と独創性豊かな技術が評価されている。そんなオサ機械は昨年、創業90周年を迎えた。この記念すべき節目に塚本真也社長にご登場いただき、今後の100周年に向けて大いに語ってもらった。
本紙 創業90周年に抜擢された社長としての抱負をお願いします。
塚本真也社長(以下、「塚本」) 当社は1932年創業以来、国内初のチョコレート製造機械メーカーとして、お客様である製菓メーカーとともに歩んできた。関係企業様には深く感謝申し上げたい。
90周年を迎えるにあたり重要なことは、これまでの歴史の中で積み上げてきたブランドや技術・ノウハウ・人材を土台とした上で、次の成長に向けた事業変革を着実に進めて行くことであり、私の役割であると同時に、目指すべきところでもある。
当社は現在、「チョコレート製造のトータルプランナー」企業となることを掲げており、製造設備のみならず、お客様の製品企画・開発から材料および製造手段の検討、協業の連携など、多岐にわたる課題解決を総合的にコーディネートさせていただき、チョコレートおよびチョコレート菓子のさらなる可能性の拡大に貢献する事業モデルの構築を目指している。
本紙 チョコレート製造機械メーカーとしての立場から見た、今のチョコレート業界についてはいかがですか。
塚本 チョコレート市場は、世界的に見ても成長が期待されている。
近年は、国内はもちろんのこと、海外においても主成分であるカカオの健康に関する効用・認知というものが市場の中で浸透してきていることが1つ。もう1つは、食文化の変化に合わせて欧米以外の各国1人当たりのカカオ消費量が増加傾向にあること。例えば、目安としての数値だが、欧米と比較した消費量は、日本が約5分の1、人口が多い中国でも約50分の1程度であり、この点から見た市場ポテンシャルも高い。
最近は、東アジアはもちろんのこと、アセアンの主要各国でも流通や店舗における社会インフラが徐々に整ってきており、高温環境に弱いチョコレートが普及する土壌が整備され始めている。さらにチョコレートは、菓子カテゴリーの中で比較的付加価値をつけやすいという特長を持っており、新規参入も増えている。
こうした市場環境の中、当社としてはお客様が直面する課題である人手不足・人件費増・材料高・エネルギーコスト増に対応した自動化システム、省エネ型設備を提案していく。
1つ目は、自動化・ロボット化で対応していく取り組み。2つ目は、当社の中軸に据えている「お客様へのトータルコーディネート」を通して、市場ポテンシャルの拡大に追従しながらこれまで蓄積した技術やノウハウを単なる機械装置に反映していくだけではなく、お客様である製菓メーカーの事業領域の拡大、製品領域の拡大につなげていくことで、新たな可能性を広げていく。
3つ目は、お客様のグローバル展開への対応。チョコレートが持つ幸福感、安心感、華やかさなどが、チョコレートが普及していない国も含めて世界中に広がっていくことを業界の皆さんとともに取り組んでいく。
本紙 ゼネラルパッカーとのグループシナジー効果を含め、今後100周年に向けたお考えを聞かせください。
塚本 次なる100周年に向けて、あるいは110周年、120周年に向けて、持続的成長が可能なオサ機械独自の事業構造に作り替える必要がある。ゼネラルパッカーの包装技術とチョコレート製造機械とのビジネス上の具体的なシナジー効果を出していくこともその1つであり、着実に進めていく。
わが国では、少子高齢化のため人口が減少しており、当社の主要市場である国内のマクロ的環境はマイナスの方向である。その対応策として1つ目は、製品であるハード面もさることながら、ソフト面であるアフターサービスや運用ノウハウの提供などを通して、総合的な製品の付加価値を上げていくこと。2つ目は、国内外ともに新たな市場・事業領域を着実にひろげていくこと。
そのためにも、私たちの事業活動そのものを目指すべき姿ならびに市場変化に合わせ、常に変化させ続けていくこと、合わせて走りながら修正を加えていく実行のスピード感が重要だと考えている。