東北見本市展示会開催
広域問屋関口(鹿沼市・関口快太郎社長)の、東北5支店が中心となって企画する東北見本市展示会が3月15日、仙台市の産業見本市会館サンフェスタで開催された。関口では昨春から同会場で、感染症への対応を講じながら再開したが、感染への配慮から、従来通りのフル開催とはいかなかった。1年が経ち、ようやく収束が見え出した今回は、各支店が総力を挙げ、東北5県の既存客始め、新規、見込み客500社(550名余)を招くフル開催。出展105社、企画出品を含めると150社を超えた。広い会場には東北ならではの商談の熱気が終日漲った。
写真左より 石塚金浩秋田支店長、浦山広一郡山支店長、菊池淳一青森センター長、大野周男常務・仙台支店長、関口快太郎社長、関口大二郎専務、清野幹男顧問、古川雅美盛岡支店長、齊藤純一山形支店長
3月の期末を控えて開始された展示会の賑わいの中で、関口社長は、「ようやくコロナ以前の状況が戻ってきたと感じています。マスク着用も緩まるタイミングでの開催ですから、各支店スタッフには、来場のお誘いの声掛けに力を入れて欲しいと伝えていた。前回まで控えていた山形、秋田のお客さんも今回はたくさんお越し頂けて、なにより嬉しいですね」と語った。
設営を担う東北5支店の誰もがモチベーション高く準備に勤しんだ。
「本社の展示会に負けない企画でアッと言わせますよ」と、宣言していた盛岡の古川雅美支店長の気合いは、取り分け高かった。その企画の目玉が、盛岡の前支店長が整理し、保存していた商品パッケージの展示(写真下)である。
『懐かしい!あなたはいくつおぼえてる? 昔懐かしい昭和のお菓子』と題したパネル展示は、会場最奥の壁面いっぱいに広げられていた。しわ一つない商品パッケージをボードに貼り、発売年月日、価格や内容量の規格、食感などの商品特性を書き込んだメモが添えてある。いかにも几帳面。その展示からは商品への敬意と愛が滲み出ていた。
大型スクリーンボードに、上下5段に整然と貼られた商品はおよそ350点。ずらりと並ぶスクリーンを、感慨を込めて丹念に見入る人の姿が印象的だった。今は消えた商品、レトロなデザイン、ロングセラーの昔の姿、意外なメーカーの意外な商品…昭和の時代に引き戻され、埋もれていた記憶を呼び覚まされた。
「今回展示したのは一部で、この2、3倍の量が保存されています。先輩が残された大事な財産」と、古川支店長。また、来れないといっていたお客の飛び入りもかなりあって、盛況に輪がかかった、と嬉しそうだった。
膨大な懐かしのお菓子パッケージの展示
成長の勢い、まざまざ
企画はそれだけではない。北海道に東北6県のメーカー品を地域ごとに纏め、郷土色を感じさせる計223品や、こだわり米菓、和、健康、個食、発掘など13のキーワードで纏めた530品、新規取り扱いの23メーカー74品のスポットコーナーや、全流協(22品)、JCC(56品)、関口関連の特選コーナー(25品)etc.圧巻の品揃えとバラエティは関口の力。
「お越し頂いたお客様に、商品の仕入れや情報収集だけでなく、楽しんで頂ける企画を毎回考えている。ことのほか、今回は力が入った。コロナ明けの時期でもあり、良いものになったと思います。また、今回の開催は、コロナ前の4年前の状態に戻ったと実感しました。今後はお客様への食事の提供なども、早く復活できると良いなと思っています」と語る関口社長のコメントには、東北エリアの力強い伸長の実感も込められている。
今期東北の売上は、およそ125億円が見込まれている。この数字は東北の流通卸マーケットの1割を突破するもの。伸長率は昨年12月の第3四半期で前年比109.58%と2桁を臨む勢い。
「今年は、東北進出の足掛かりだった郡山支店ができて50年の節目。この勢いから来期はかなり高い目標を立てた」。
昨年に会社設立70周年を迎えた関口は、80年に向け動きだしている。初年の来期売上目標は250億円(東北133億円)。10年後の80周年の目標は500億円である。
「東北の流通卸の市場規模は、およそ1100~1200億円。現在その約12%のシェアを占めており、今後これを20%台(CVSを除き)に乗せようと目標を掲げた」。 この裏付けは東北エリアでの新規客の増加だ。今回の展示会にはその多くが来場した。“有難いことに”お客がお客を繋いでくれるケースが増えているという。問屋は地域の生活を守る“毛細血管”とし、長年かけて築き上げた関口流のきめ細やかな働きと、信頼がもたらしたものだろう。
しかし、その好調の一方で、目標達成に向けた課題も浮上している。
「1つはソフト面。人材の確保と教育による全体のフォロー体制の強化。営業方法の効率化も含め新しい形を模索中で、拡大するお客様のニーズに応えるスキルアップも必要です。2つ目はハード。物量の増加で既存の倉庫がキャパオーバーになってきています。ことに仙台と秋田。来期以降の課題として新たな物件を探しているところです」。
この力強い業績伸長は、東北進出から50年間の地道な努力がもたらしたものだ。広い東北。その非効率な状況を我慢我慢で乗り越え、蓄積してきたノウハウがあって今日の成果に繋がっていると、関口社長は感謝をこめつつ、自信を示した。