泉屋製菓総本舗『いわしっ子』
瀬戸内海産のカタクチイワシの良さを活かしたのが、1998年に誕生した『いわしっ子』(15袋、一般小売価格298円・税抜、写真)。「『ひとくちアーモンド魚』の、アーモンドのないものを子供に食べさせたい」というお客様の手紙から誕生した製品だ。創業90年を超える、泉屋製菓総本舗(愛知県あま市)が製造する。
世代を超え、 家族の絆をつなぐ
発売から25年ほど経つが、原材料はカタクチイワシ、三温糖、水あめ、ごまとシンプル。薄味だが甘みと塩味のバランスが良く、香ばしくサクサクとした食感。連食性のある絶妙な味わいだ。
スーパーの珍味コーナーに陳列されるが、手に取るのは幼い頃に同品を食べていた子育て世代。親になってから、改めて自分の子供に食べさせたいと同品を購入する。
「都会で暮らす息子さんが両親の健康を気遣い、遠く離れた実家に送ることもあります」と話すのは、同社担当者だ。まさに世代を越え、家族との絆をつなぐ製品にもなっている。
美味しさのポイントは、カタクチイワシの大きさにある。魚は腹部に苦みがあるため、サイズが大きくなると腹部の苦みが口に残る。このため、同品は瀬戸内海で採れた品質の良い3.5~4㎝のカタクチイワシを使用。食べやすさにこだわった。
近年は東アジアでカタクチイワシの需要が増加する一方で、漁獲量減少が続き入札相場が高騰。海外業者との争奪戦が続く。だが、「瀬戸内海産のカタクチイワシは、日本の宝。当社の使命として、『いわしっ子』の品質と安定供給を守り続けたい」と、同社は力強く話す。
現在は消費者の健康意識の高まりから、1個装当たり0.6gの糖質量である同品を、糖質を控えた「ロカボ製品」として訴求。パッケージにも記載する。新たな需要獲得に向けて取り組みながら、同社は変わらぬ味を作り続けている。