問屋界トップインタビュー 株式会社グローカル・ユナイテッド 高木邦光社長

 グローカル・ユナイテッドは2017年、1都8県に販売エリアを持つ丸高商会(茨城県石岡市)と、北海道・東北エリアを中心に販売網を持つサクラバ(秋田県北秋田市)の経営統合により誕生した。以来、「来店されたお客様に本当に喜んでいただける菓子売り場を提案する」というコンセプトを推進し、昨年11月1日には都内千代田区に東京オフィスを開設した。菓子専業卸を母体とする同社の高木邦光社長にその現況をきいた。(全2回)

危急存亡の秋、菓子専業卸の“武器”とは!?

 本紙 菓子専業卸の今日的課題は何ですか?

 高木 当社グローカル・ユナイテッドの社名は、グローバルな視点と知識、ローカルな知識と地域に根差した営業活動を重視する者同士がユナイテッド(統合)することです。大手NBメーカー様から全国各地の中小メーカー様までの幅広い品ぞろえを追求して、Win-Winの関係を築きながら、これまで先人が作り上げてきた日本のお菓子産業を継承するという理念を体現しています。地方には、その歴史や風土、文化などが育んだ、その地域独特のお菓子を楽しむ文化があり、多くのメーカー様の力をお借りしながらその地域のお客様にマッチした品ぞろえを提案して行くのが、菓子専業卸の本来の役割だと思っています。しかし今日、商社系の総合食品卸の寡占化に対抗して行くだけの経営改革が進まないいくつかの菓子専業卸は存亡の秋を迎えています。

 本紙 打開策はありますか?

 高木 もう一度、卸本来の役割に立ち返ることが大切でしょう。大手メーカー様はもちろん、その地域地域に根付いた中小のお菓子メーカー様まで漏らすことなくしっかりと品揃えを行い、営業の現場では大手メーカー様の方針をしっかりとらえて彼らの売り上げを伸ばすことにキチンと協力し、中小メーカー様には彼らの営業パーソンの代わりになって商品1品1品を丁寧にバイヤー様に説明して行く。それぞれのメーカー様の立場と方針・強み弱みをしっかり理解して、どうしたら彼らに協力できるのか徹底的に吟味して営業活動を行うことです。特に地場の中小メーカー様には専任の営業パーソンがいないところが多い。営業パーソンがいないことで、商社系総合卸が構築した今日の流通の仕組みに乗ることが難しく、そもそもエントリーすらできないところも多い。菓子専業卸であれば、

そのようなメーカー様の営業パーソンとなりきることも、大手との差別化につながると考えています。

 本紙 具体的に教えてください。

 高木 菓子専業卸としての知識と経験に基づく「お客様最優先の棚割り」を作ることだと思います。とりわけ菓子の売り場では、商社系総合卸が扱わなくなってしまった地域ならではの必要とされる商品を必ず提案することが菓子専業卸の最大の武器であり使命だと思います。問屋側の効率を最優先して品揃えを決めるのではなく、飽くまで地域のお客様の好み・特性に合った品揃えを行うことを最優先することが重要です。 

         (後篇へ続く)

高木邦光(たかぎ くにみつ) 

略歴=1966(昭和41)年1月25日茨城県石岡市生まれ。獨協大学卒。大学卒業後、森永製菓で3年間営業の勉強をした後、㈱丸高商会に入社。1989(平成元)年同社代表取締役社長就任。2017(平成29)年12月1日㈱サクラバと経営統合し、持株会社㈱グローカル・ユナイテッドを設立し同社社長に就任。

家族=妻1名(笑)と息子1人とメダカ数10匹

趣味=地域探訪をしながらの居酒屋巡り

好きな歌手=門谷純さん