TOKYO PACK 2022(2022東京国際包装展)開催

新時代パッケージが集結!

 公益社団法人日本包装技術協会(以下JPI、都内中央区、磯崎功典会長)は10月12日から14日までの3日間、世界有数の総合包装展である「TOKYO PACK 2022(2022東京国際包装展)」を東京ビッグサイト(都内江東区)東1から3、6ホールで開催した。今回のテーマは、「新時代パッケージ ここに集う!―未来のために機能進化と使命―」。国内外の包装に関する最新情報が、一堂に集まった。

 1996年の初開催から、今年で29回目を迎える「TOKYO PACK」。国内はもとより世界中から多くの包装関係者が集まる、世界有数の総合包装展だ。会場には、あらゆる業界において活用される包装資材・容器・機械・関連機器・システムソリューションが展示された。

 今回の出展社数は406社、1602小間。会期中の入場者は16万7053人(来場登録5万3466人)で、海外からも1000人の来場登録者があった。

 新型コロナウイルス感染者数は減少してきたが、会場内は感染防止対策に取り組みながら開催された。

 展示内容は、「包装資材・容器」「包装機械」「印刷・包装加工機械」「食品・医薬品・クリーン関連機材」「検査・計測・環境関連機材」「包装デザイン・サービス」「次世代テクノロジー、包装・物流ソリューション」と、多岐にわたる。パッケージの最新動向がわかるセミナーなども開催された。

 また、ホームページを使った3つの情報ツールを新設。リアル展示とは別に、バーチャル展示会を実施している出展社のインデックスページ「TOKYO PACK HYBRID」、出展製品の動画を7つの出展分類ごとに視聴できる「出展製品動画ギャラリー」、さらに出展社に関する最新情報をタイムリーに収集できる「ニュースリリースページ」により、来場できない人に向けた情報提供が行われた。

 

国内最高水準! 入賞作品を一堂に展示

 JPI主催「2022日本パッケージングコンテスト」入賞作品を展示(写真1)。技術・デザイン・環境・アイデア・適正包装面など、広範囲に及ぶ厳正な審査をクリアした国内でも最高水準となるパッケージが出揃った。お菓子関連の受賞は、次の通り。

 「2022日本パッケージングコンテスト」

 <ジャパンスター賞>

 ▽日本商工会議所会頭賞

 『鳩サブレーのパッケージ紙化 「紙ピロー包装」』豊島屋/日本製紙

 ▽公益社団法人日本包装技術協会会長賞

 『Jagabee』カルビー/ 凸版印刷

 <包装部門賞>

 ▽菓子包装部門賞

 『紫外線発色インキを使用したグミのパッケージ』春日井製菓/ダイナパック

 『フロマージュ浮島・YUKI テイクアウト用パッケージ』鎌倉紅谷/笹徳印刷

 『ファミリーパック 薄肉化・スマイルエコマーク導入』ロッテ

 『「AZUKIBAR」シリーズ(RED BEAN、MATCHA、MILK)』

  井村屋/IMURAYA MALAYSIA SDN.BHD./

  井村屋スタートアップ プランニング/レンゴー

 『水性インクジェットを用いたプラスチックフィルムレスヒートシールバリア紙包装』

  カナオカホールディングス/三菱製紙

 『ふくやラスク めんたい味』ふくや

 『エクセレントスイーツ シリーズ(ミルファス、ラシュクーレ、レザンヌ、

  マイリーフ)』ブルボン

 『こんにゃくゼリーソーダ系シリーズ外装ケース』レンゴー/アイエー・フーズ

 「2022 木下賞受賞作品展」

 木下賞は、同協会第2代会長だった故木下又三郎氏の包装界に対する功績を記念して設定された表彰賞。会場には、「第46回木下賞」研究開発部門を受賞した「『チューブなパウチ』の開発」(凸版印刷)や「電子レンジ対応紙カップの開発」(大日本印刷)などの展示があった。

 

写真2

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次代を見据えたイベント・セミナー開催

 集中企画展示「新時代に挑むパッケージ」(写真2)

 同展の推奨テーマ「包装の機能進化と環境問題に関する課題」、「食品ロス、食品廃棄の削減に取り組む包装・物流の使命」、「新時代を見据えた先端技術の活用パッケージの新たな進化(革命)」、「コロナと共存するためのパッケージ」に基づき、環境問題への高まりや長引くコロナ禍など、新時代の変化に挑むパッケージの最新動向を紹介。包装産業の最新トレンドが凝縮された内容に、来場者の注目が集まった。また先着3千名限定で、企画展示の内容をまとめた小冊子も配布された。

 パッケージデザインパビリオン(写真3)

 「デザイナーと企業との出会いの場」をテーマに、付加価値のある新たなパッケージデザインの発見や、販売力向上のためのヒントを紹介。パッケージデザイン開発とマーケティングリサーチを手がけるプラグをはじめ、多数の会社が出展した。

 COLMAパビリオン

 海洋プラスチックごみ問題解決に向けたプラットフォームとして設立されたのが「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(COLMA)」だ。会場では、サプライチェーン全体で資源循環を促す社会システムの構築など、さまざまな取り組みを進める活動内容や今後の展望について紹介された。

 セミナー

 国内外からキーパーソンを招き、包装の未来や課題、海外の環境対策などパッケージトレンドがわかるセミナーも同時開催。基調講演「プラスチックに係る資源循環の取組をはじめとした資源循環経済政策について」をはじめ、「新時代TOKYO PACKセミナー」、「TOKYO PACK Global Seminar」など、会期中70セッション以上の多彩なセミナーが行われた。

 

写真6

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先端技術で課題解決

 太陽誘電ケミカルテクノロジー(写真4、群馬県高崎市、井口喜章代表取締役社長)は、電子部品メーカー太陽誘電の化学処理部門からスタートしたグループ会社だ。

 初出展となる今回は、電子部品製造で培ってきた表面処理をもとに誕生した『JCコート』(機能性表面処理膜)を展示。食品製造装置の各工程のパーツに汚れを弾くコーティングをすることで、メンテナンスや清掃の省力化が可能となる。ブースでは、実際にコーティングされた金属板が水をはじく様子が紹介され、来場者の注目を集めていた。

 日本製紙(写真5、都内千代田区、野沢徹代表取締役社長)は、紙だけでパッケージができるヒートシール紙や、酸素・香りを通さない紙製バリア素材を紹介。包材全体の減プラ化に貢献できるなど、「紙」に新たな機能を付与した数多くの製品が展示された。

 ブースには、ブルボン、カネカ、日本製紙が共同開発した紙パッケージを採用したブルボン『4種のひとくちスイーツ』を展示。接着部分に、カネカ生分解性バイオポリマー(GreenPlanet)を使用。バイオマス由来のため、海水でも生分解できる点を訴求した。

 充填包装器のリーディングカンパニーであるPACRAFT(写真6、都内港区、北村明義代表取締役社長)は、高速自動充填包装機『TT-10CW』を展示。1分間最大100袋の高速生産が可能。同機はCVSで主流の袋サイズ幅80から150ミリに対応できるほか、ジップ付き、スタンディングパウチなど、多様な袋種類にも対応可能な充填機だ。

 ブースには同機が充填包装したカルビー『じゃがりこ』やUHA味覚糖『コロロ』、江崎グリコ『メンタルバランスチョコレートGABA』など、多種多様な形状のパッケージが並び、来場者の関心が寄せられた。

 品質保持剤などを開発するフロイント産業(写真7、都内新宿区、伏島巖代表取締役社長)は、生分解性プラスチックを採用した『アンチモールド・マイルド』を展示。小袋包材に、業界初となる生分解性プラスチックを採用。生分解により水とCO2に分解されるため、土に還る環境に優しい包材であることを訴求。小袋全体のバイオマス度は約80%となった。1年以内の製品化を目指している。

 

写真7