同社が開発したセルロースナノファイバー『セレンピア』は、樹木を構成する繊維をナノレベル(1ナノメートルは10億分の1メートル)まで細かく解すことで生まれた画期的な自然由来のバイオマス素材。最大の特徴はきわめて応用範囲が広いことだ。その優れた特性から、いま『セレンピア』はお菓子やパンなどあらゆる食品で使われ始めている。例えば大手パンメーカー・フジパンの『ずんだホイップコッペ』はふんわりしたパンが人気だが、その生地には『セレンピア』が練り込まれているのだ。
『セレンピア』を使えばパンもよりふっくらに
分かりやすくその特徴を追ってみるとポイントは5つある。1つは「口どけ」を良くする懸濁安定性がどの温度帯でも高いこと。独自のネットワーク構造により、溶液に含まれる不溶性成分が均一に分散した状態を長期間保つことができる。2つ目は「なめらかさ」に欠かせない乳化安定性に優れている点だ。3つ目が「ふんわり」をもたらす気泡安定性の高さで、ふっくらしたボリュームを保てるので、シュークリームや蒸しパン、スポンジケーキに最適。4つ目が「しっとり感」を醸し出す保水性の良さ。クリームパンや餡子に添加すると、離水や乾燥がしづらくなる。5つ目が保形性の高さ。パンなどの腰折れを防ぐことができる。このように『セレンピア』はお菓子や食品の品質向上にとって、まさに良いことづくめの素材なのだ。
「この『セレンピア』は特に和菓子との親和性が高く、品質向上が顕著に表れる。今後はそこへの販売に注力する。知名度をより高めることも必要で、優れた効能や特性をより広く多くの方々に知ってもらいたい。そのことを通じて『日本の食文化』をさらに高めていければと思う」(バイオマスマテリアル販売推進部部長代理・薮野伸季氏)。