あの不二家と中国で協業! バンダイに聞くIP菓子事業の海外展開

中国におけるバンダイと不二家の協業第1弾は『ウルトラマンスティックキャンディ』 ※商品画像はイメージ
中国におけるバンダイと不二家の協業第1弾は『ウルトラマンスティックキャンディ』 ※商品画像はイメージ
写真左から岸マネージャーと川田ゼネラルマネージャー
写真左から岸マネージャーと川田ゼネラルマネージャー

 バンダイと不二家は今年2月、中国菓子事業の展開・拡大に向けた業務提携を発表した。協業製品の第1弾は今年10月に発売予定の紙棒キャンデー『ウルトラマンスティックキャンディ』。BANDAI NAMCO Entertainment (SHANGHAI) CO.,LTD.がIP (キャラクターなどの知的財産)を活かして企画したお菓子を、不二家(杭州)食品有限公司が製造・発売する形である。両社は「それぞれの強みを活かすことで中国での『地産地消』によるIP菓子事業展開の拡大を共に目指す」としている。今回の協業と海外展開について、バンダイキャンディ事業部の川田裕二ゼネラルマネージャー(当時)と岸健一郎マネージャーに聞いた。(取材・2022年2月18日)

 

「地産地消」にこだわりたい

 

 本誌 貴社のIP菓子事業の海外展開のスタンスは?

 川田 当社は1951(昭和26)年3月に玩具の輸出販売をスタートして以来、常に海外を視野に入れて活動してきた。そして、2018-2021年度の中期ビジョン「突き破り創り出せ! そして世界を〝あっ〟と言わせよう!」の下、さらに海外展開を加速させてきた。既成概念に捉われず、自由な発想でチャレンジし続けて「世界のバンダイ」への飛躍を目指す取り組みの一環として、中国でのIP菓子事業がある。

 本誌 不二家との協業の経緯は?

 川田 当社の菓子事業はファブレス(工場なし)なので、基本的に製菓はパートナー企業が行っている。不二家とは国内で従前からケーキの生産などで協業関係にあった。流通菓子では、昨年8月から『キャラパキ発掘恐竜チョコ』シリーズの生産を不二家が行っている。

 本誌 中国菓子事業での協業を決めた理由は?

 川田 海外での菓子事業の展開を模索する中で、「地産地消でやりたい」という思いが当社にはあった。国内での縁があったことから、中国菓子事業で実績のある不二家に提案したところ快諾が得られた。現地に大きな生産拠点を持ち、ポップキャンデーやクッキーなどの販売ネットワークを構築している不二家との業務提携は、当社の願望である「地産地消」の実現につながるので大変嬉しく思っている。

 本誌 貴社の中国事業の近況は?

 川田 当グループ全体でも玩具をメインに中国事業が急拡大を続けている。そのような背景もあり、キャンディ事業部でも販売テストを繰り返してきた。IPを活用したお菓子は非常に人気があったので、大きな商機を見出してはいたが、輸出では限界があった。

 というのも、お菓子の中国輸出は約20年前から香港を中心にやってきたが、日本から輸出すると現地価格が高くなる。そうなると、富裕層だけしか手が届かなくなってしまう。日本のIPを活用したお菓子を一般家庭の子供たちの手に届きやすい価格とするには、先に述べた「地産地消」が不可欠だった。

 本誌 中国以外での海外展開の予定は?

 川田 当面は中国事業に注力するが、IPの世界展開は当社のミッションとなっている。有望な市場があれば、積極的に進出を検討する。その際にも「地産地消」にこだわりたい。

 

IPの力を十二分に

 

 本誌 不二家との中国協業第1弾『ウルトラマンスティックキャンディ』について。製品のポイントはどのあたりになるか?

  デザインにこだわった。細部を不二家とやりとりしているところだが、外装デザインでは人気の高いキャラクター5体を表示し、個包装デザインではキャラクター2体1組で5種、またキャンデーの立体デザインも5種用意する予定。

 個包装もキャンデーもランダムに入るので、外装から個包装を取り出す時や個包装からキャンデーを取り出す時に「次はどのキャラクターが出てくるのか」と子供が常にワクワクできる。そんな設計となっている。

 本誌 ブドウとピーチの2味とした理由は?

  こちらも不二家と相談し、現地で人気のあるフルーツフレーバーの中から選んだ。ブドウとピーチに決めたのは現地で好まれる味ということもあるが、色もポイントとなっている。ブドウは濃い紫色、ピーチは濃い黄色、どちらもキャンデーの立体デザインが映える色味となっている。

 本誌 現地に競合製品として考えられるのは?

  把握している範囲では今のところない。パッケージにキャラクターをプリントしたキャンデーは流通しているが、キャンデーに立体デザインを取り入れたもの、しかもウルトラマンを使用したものは唯一無二ではないかと自負している。 

 本誌 10本入りで14・8元(約260円)という価格設定はどのように決めたのか?

  現地経験が豊富な不二家と相談しながら決めた。現地の一般的な家庭でもお求めやすい価格にしている。

 本誌 第1弾『ウルトラマンスティックキャンディ』は今秋発売されるが、第2弾以降はどのような展開を考えているか?

 川田 第1弾の動きを見ながら、『ウルトラマンスティックキャンディ』をシリーズ化するのか、あるいは別カテゴリーのお菓子を出すのか、検討する。IP活用は当社の大きな強みであり、他社との差別化ポイントでもある。中国での生産と販売を担う不二家と協議しながら、IPの力を十二分に活かせるようなお菓子を現地の子供たちにお届けしていきたい。

『菓子食品新聞』4月30日(2022年春季特別号 第5539号)掲載