【ロコパラ】 株式会社 根本製菓

女性目線のおもてなし

巴堂(茨城県水戸市)

『風呂敷包み』を持つ根本和子さん(右)と『よくばりパック』を持つ四代目のしのぶさん

バイタリティ溢れる母娘

 

 厳選素材を使った昔ながらの製法を守り続ける根本製菓。その工場直販店の『巴堂』を切り盛りするのは、専務の根本和子さんと店長の根本しのぶさん親子である。今から14年前、和子さんが店長に就任したときに来店客の目を引き付けるべくはじめたのが、色彩に富んだ『風呂敷包み』や『かご盛り』だ。これをきっかけに巴堂は大きく変わった。味だけでなく見ても楽しめるギフトとして好評を博すようになる。

 すべてが手作業なだけに、人気が出ればそれだけ肉体的にも苛酷になる。朝早くから夜遅くまで作業を続ける和子さんの姿を横目で見ていたしのぶさんは、新たな流れをつくりだす。これまでの米菓に例のない若者目線のシーズニングを採用した商品群がそれだが、「正直なところ私はあまり好きではなかった。老舗には合わないのではないかと思っていた」と和子さんは述懐する。

 これが若い層を中心にヒットした。和子さんは売れたら根本製菓でも扱いたいと思っていたが、しのぶさんは巴堂ブランドとしてやりたいと反対。根本ではなく巴堂と取引したいという声もあったが、直売とネット販売にこだわった。

 味わいのある手作りのポップはしのぶさんの手になる。当初はうまく書けなかったものの、本を買って研究に明け暮れた結果、ある日突然コツをつかんだという。そうした姿勢は親子共通のようだ。商品開発するにあたり、規格は二人で決める。とにかく食べまくるという。

 「口コミで若いお客さまが増えました。娘がいてくれたからこそ」と和子さん。4歳になる孫のいち椛ちゃんは、おしゃまで自分の意見をしっかり表現できる子とのこと。巴堂の五代目として期待がかかる。

◆ 売れ筋BEST 3 ◆

人気アイテムは、シーズニングのホタテバター、ゆずこしょう、トマトバジルのおかき(130g)。いずれも季節性のある商品だが、通年引き合いがある

◆巴堂の概要 

店舗の広さ122㎡(37坪) 開設=1982年 お店の特徴 商品開発からラベル、包装、ポップまですべて根本和子さんとしのぶさんが手掛ける。女性らしい美意識に溢れた感性と細やかさが印象的なパッケージの商品群は、徹底的にこだわって仕上げられており、常時10アイテム、多い時では20アイテムほど展開。現在はコロナ禍で中止しているが、11月に開催する『巴堂祭』はいつも大盛況だ。