『菓子食品新聞』チョコレート特集号2021 ダイジェスト(1)

 チョコレート市場は昨年、コロナ禍による巣ごもり需要や家庭内手作り需要の増加により大袋製品や板チョコが好調だった。しかし、外出自粛やテレワーク推進により、行楽地需要やオフィス需要の減少が大きく影響して全体的には前年比ダウン。2020(令和2)年の全日本菓子協会(ANKA)推定でも、チョコレートカテゴリーは生産数量、生産金額、小売金額ともに2~3%の減少に転じた。チョコレートメーカー各社は、長引くコロナ禍に様々な施策を掲げ、製品価値の向上に努め、ニューノーマル時代に変化する消費者ニーズにも対応している。

明治

キーワードは手軽に楽しく健康維持

 2021年秋季取り組みのポイントは①コロナ禍長期化における健康行動の継続②おうち時間の活性化③買い場変化による市場機会獲得④サステナブルな情報発信の4つ。これらをベースに新製品の発売や既存品のブラッシュアップ、販促を展開する。

 健康志向チョコレートのⒶ『チョコレート効果』Ⓑ『オリゴスマート』Ⓒ『TANPACT』の3つについては、以下の施策を用意。

 Ⓐは、ミドル・ヘビーユーザーのさらなる習慣化を狙い、カカオポリフェノールの価値訴求を強化する。キャンペーンのテーマに「毎日コツコツ朝から健康チョコ習慣」を掲げ、朝食シーンへの拡大を目指す。それに伴い、カカオ95%の大袋を発売する。同シリーズのなかでもカカオ95%は最もヘビーユーザーが多く、その要望に応える。

 Ⓑは、パッケージ(写真①)をよりわかりやすく、より美味しそうなデザインにリニューアルするほか、喫食制限の起因となっている「糖」から考えたチョコ売場創造として、部門横断によるオリゴスマートブランドの徹底浸透を図る。

 Ⓒは、幅広いシーンで手軽に美味しくたんぱく質を摂取できるよう、パウチタイプ、大袋、箱ビスタイプとラインアップを充実させる。

 リニューアルテーマに「カカオ本来の香りと味わいを楽しめるチョコレート」を掲げる『ザ・チョコレート』は、ラインアップ6種を同時に食べ比べられるアソート『明治ザ・チョコレートトライアル6』(写真②)を発売。

 生誕95周年を迎えた『明治ミルクチョコレート』シリーズは、100周年に向けてリニューアル。カカオマスの香りと旨みを強化し、品質・パッケージをブラッシュアップ。『明治ミルクチョコレート復刻版箱』(写真③)の発売をはじめ、『明治ブラックチョコレート』『明治ハイミルクチョコレート』『ベストスリー』もリニューアルを実施。

 ナッツチョコレート類は、役割の異なる製品ラインアップを強化し、中長期で成長させる方針。『ヘーゼルナッツチョコレート』は、チョコ生地に「ベネズエラ産カカオ」を使用し、ナッツと相性の良いコク深い味にリニューアル。そのほか『アーモンドストロベリーチョコレート』を発売。

 『きのこの山』『たけのこの里』は、「いちごショコラ」の定着を狙い、いちごをテーマにしたコラボキャンペーンを実施する。新製品としては「たけのこの里クッキー&バニラ」を発売。

 『アポロ』ブランドは発売50周年をきっかけに大きく伸長するなか、昨年に引き続き『大粒アポロダブルベリーヨーグルト』を発売。『アポロスタイル』のリニューアルを実施し、品質が向上。

 『ホルン』は『ミルクショコラ』のパッケージをリニューアル。『いちごのフロマージュ仕立て』を新発売。『ガルボ』は25周年企画として女優の小松菜奈と7つの気持切りかえキャンペーンのほか、『ガルボホワイトパウチ』をリニューアル。

森永製菓

人気ブランドの付加価値を高める

 新型コロナウイルス感染症の流行状況次第で、消費者の生活行動も変わる環境下、同社は『カレ・ド・ショコラ』『ダース』『小枝』『チョコボール』に注力し、各ブランド独自の価値を高めていくとのこと。

 『カレ・ド・ショコラ』シリーズは、「チョコレートの完成形」をコンセプトにした、菓子形状や品質、パッケージに至るまで徹底的にこだわった同社の自信作。今回、日本のトップソムリエ5人に「〝ワインに合う〟チョコレート」として認定され、9月上旬からシンボルマークをパッケージに加えた。秋の夜長のちょっとしたご褒美に、『カレ・ド・ショコラ』とワインのマリアージュを楽しんでもらうよう訴求。

 今年1月に期間限定発売で大好評を得た『カレ・ド・ショコラ〈ピスタチオ〉』(写真①)を、9月7日に定番製品として再発売。さらに、同シリーズ全7品を対象に、お店では売っていない『カレ・ド・ショコラ〈スぺリオリテ〉』プレゼントキャンペーンを実施。フランスの人気日本人パティシエ「MORI YOSHIDA

 Paris」吉田守秀シェフとコラボした『カレ・ド・ショコラ〈スぺリオリテ ベルガモットミルク〉』を抽選で毎月900名にプレゼントする。

 今年50周年を迎えた『小枝』シリーズは、スイーツや飲料でも人気が高まっているフレーバー『小枝〈宇治ほうじ茶〉』(写真②)を9月21日に発売。厳選された京都府産の宇治茶葉を使用した豊かな味わいが特徴だ。同日、期間限定で『50倍小枝〈ミルク〉』も発売。施策としては、今年5月に同シリーズの新キャラクターとなった、「なにわ男子」の道枝駿佑による販促第2弾を展開。オリジナルエコグッズのエコバッグ、タンブラーをプレゼントするキャンペーンを9月21日から実施。

 『ダース』シリーズは、10月にパッケージ・品質を大きく活性化して発売。例年までと異なるアプローチで独自性のあるデジタル販促を予定している。

 カカオ生産国を支援するキャンペーン「1チョコfor 1スマイル」は、昨年に引き続き「嵐」の櫻井翔がアンバサダーとなり、9月2日から10月9日まで実施。

江崎グリコ

エールポッキーキャンペーン『アーモンドピーク』初リニューアル

  「Share happiness!」をメッセージに掲げる『ポッキー』では、頑張る家族や友人、大切な人を応援する気持ちに寄り添う「エールポッキーキャンペーン」を春に引き続き今秋も展開。

 その一環として、医療従事者に対する感謝と応援の気持ちをデジタルブック「Pocky Book Blue」にまとめて届ける活動を、昨年秋に続き今年も実施している。

 『ポッキー』小箱5品(チョコレート、極細、TASTY、つぶつぶいちご、アーモンドクラッシュ)では、表面に5文字のエールが書ける限定デザインのパッケージ品(写真①)を発売。Twitterでは、5文字のエールを書いて撮影した写真を投稿すると、抽選で111名に「ポッキー5箱入り! おうちで楽しめるシェアハピBOX」が当たるキャンペーンを来年1月31日まで実施している。

 また、『ポッキー』購入レシートを撮影してWebで応募すると、JTBデジタルギフト「ア・ラ・グルメ」などが当たるキャンペーンも来年1月3日まで実施中だ。

 アーモンドを丸ごと1粒入れた『アーモンドピーク』は、2011年の発売から10年が経ち、今回初の大幅リニューアルを実施。〈ミルク〉〈プラリネ&クリスプ〉の2品(写真②)を9月21日に発売した。9月14日には、オンラインで発表会を行った。

 オレイン酸を含み、香ばしい風味が特徴の「アーモンドオイル」を加えるとともに、チョコレート1粒にアーモンド2粒分のビタミンEを配合。チョコレートには焦がしミルクを新配合して全面改良し、アーモンドの香ばしさが引き立つ最適な味を追求、満足感のある1粒に仕上げた。

  「美味しさに健康価値を付加することで〝嗜好品〟から〝必需品〟へと生まれ変わり、新たな市場を創出していく」と同社では意気込む。

 ターゲットは40代から60代の女性。モデル・タレントのアンミカを起用した紹介動画や店頭ツールで盛り上げていく。

 売り上げ1億5000万個を突破した『神戸ローストショコラ』は、皆が買っている安心感&健康付加価値をプラスした期間限定パッケージで9月28日に発売。40代から60代の女性にアピールしていく。

ロッテ

ニーズを捉えつつ主力ブランドに注力

 昨年度はコロナ禍の外出自粛やテレワークなどで、イエナカ需要が拡大し、チョコレートが大きく伸長した。ブランド戦略をさらに強化し、チョコレートシェア№1を目指していく。秋季の新製品は〝ブランド志向〟〝イエナカ充実〟〝エンタメ消費〟などを主軸に展開する方針だ。

 『ガーナ』ブランドでは、『ガーナミルク』の新TVCMがスタートした。俳優の吉沢亮と浜辺美波の2人が〝とろける口どけ〟のシズル感を、その表情で表現している。

 注力する製品として、夕食後やお酒のお供など、ゆったりとしたごほうび時間にぴったりの『大粒で味わうガーナ』(写真①)を9月7日に発売。シンプルでコク深く、まろやかな味わいながらも、センターチョコをエアレーションすることで、後切れが良く飽きのこない美味しさに仕上げた。大粒ならではの満足感と、ちょっとした贅沢な余韻に浸れる一粒ショコラだ。

 同ブランドでは、少し高価で贅沢感が味わえる消費者ニーズを受け、プレミアムラインを強化。ブランド志向と素材の美味しさを際立たせた『プレミアムガーナ』(生チョコレート/フルーツショコラ/トリュフの3種5SKU)を10月5日発売とともに、新TVCMの配信も予定している。

 9月14日新発売の『紗々<芳醇いちご>』(写真②)は、3種類の細い線状のチョコレートを丁寧に織り重ねて生まれる、まるで絹織物のように繊細な外見。パリパリとした繊細な歯ざわり、口の中でほろほろほどけるように溶けていく口どけ感が楽しめる。ホワイトとビターが重なることで、より際立った甘酸っぱい苺の味わいもポイント。

 9月28日発売の『アーモンドチョコレート〈キャラメル&トフィー〉』(写真③)は、原料と製法にこだわり、季節に合わせてひと手間加えた、ちょっぴり贅沢なアーモンドチョコ。キャラメルとトフィーキャンデーを練り込み、ローストアーモンドで包み込んだ。キャラメルのコクと、発酵バターと砂糖をじっくり煮詰めたトフィーキャンデーの香りが楽しめる。

 10月12日発売予定の『ラミー』と『バッカス』に加え、さらなる市場拡大に向けて『アップルブランデー』を11月に発売する予定。

ブルボン

100円ラインを強化、売り場の活性化図る

 「先行きの不透明感が拭えない社会背景ゆえ、新ブランドへのトライアルよりも安心感のある定番ブランドへのアプローチが高まる」と同社は今季のトレンドを予測。在宅時間は引き続き長く、家庭消費を前提とした製品展開も増える。

 そうした中、一部の素材やフレーバーでのトレンドが見られ、それらを用いたシリーズ品の投入や、既存ブランドを進化させた製品が多くなると考えている。

 手頃な価格とボリューム感で支持を得ている『アルフォートミニチョコレート』シリーズ。既存品はリニューアルし、100円ラインを4品から5品へ、プレミアムラインを2品から1品へとする体制に変更。100円ラインの季節限定フレーバーを継続展開することで売り場の活性化を図る。

 100円ラインは、『アルフォートミニチョコレートストロベリー』(写真①)に注力。チョコレートでは王道のいちごフレーバーをラインアップし、主力ブランドのさらなる強化に取り組む。フリーズドライした苺パウダーを、チョコレートに直接混ぜ合わせ、いちごの粒感とほどよい酸味が感じられる味わい。

 プレミアムラインは、『アルフォートミニチョコレートプレミアムピスタチオ』(写真②)。ローストしたピスタチオのペーストを練り込んだチョコレートとピスタチオプードルを加えたダイジェスティブビスケットを組み合わせた。ビスケットにほんのり塩味をきかせ、甘味とピスタチオの風味を一層引き立てた。

 同シリーズでは、新たに俳優の高橋一生を起用し、楽曲は現在最も注目のアーティストVaundyの人気楽曲「napori」とタイアップしたTVCM「アルフォート、ある?」篇を9月7日からオンエア。さらに、オリジナルギフトカードが当たる消費者キャンペーンも実施。

 他のチョコレート新製品では、『もちトリュフガナッシュ』(写真③)に注力。ココアパウダーをまぶしたやわらかなガナッシュをほろ苦いおもちで包み、人気のある「もちもち食感」をトリュフチョコレートとして開発した。おもちとガナッシュを組み合わせることで生まれる新しい食感のチョコレートを、同社ならではの製造技術で提案。

不二家

『ルック』は定番3品で攻勢、『チョコまみれ』絶好調

 『ルック』は、1粒で贅沢な気分になれる大粒の『ルック一粒の贅匠(あまおう苺/利平栗)』、定番の3品、バタフライピーを使用して青色に染めた『ルック(青い宝石)』を9月に入ってから順次投入しており、話題作りに余念がない。

 メインとなるのは、定番の『ルック(ア・ラ・モード)』(写真①)、『ルック3(ホワイトラバーズ)』(写真②)、『ルック4(チョコレートコレクション)』(写真③)。ホワイトラバーズを値下げして3品とも価格を110円に統一、店頭に並べやすいように設定した。「ルックのバラエティ感は、3品が並ぶことでより伝わる」(同社)と力が入る。

 起用2年目となるSnow Manが出演する新CMも放映。3品ともCMと連動した4種類のロゴ(ゴーゴー、ドキドキ、ほのぼの、たのしめルック!)を配置した新パッケージで、統一感を持たせている。

 限定グッズが当たる「たのしめルック!キャンペーン」もスタート(11月30日まで)。300円以上購入のレシートを1口としてWebで応募すると、Snow Manがプリントされた「たのしめルック缶+ルック詰め合わせ」と、「キャンペーンオリジナルQUOカード500円分&ブランケット」がそれぞれ500名に当たる。

 「青い宝石」は昨年、SNSでも話題で品薄となったが、今年は供給体制を万全に整えて臨む。

 新キャラクター「ルッくん」も登場し、若年層に向けた製品設計とSnow Manの起用で、ロングセラー『ルック』は今年も需要層の若返りに注力していく。

 ビスケットのカテゴリーではあるが、チョコレートとしても訴求できる『カントリーマアム チョコまみれ』が絶好調。キャラクター「まみれさん」のゆるさも人気だ。

 「計画比で300%を超える売れ行きで、正直ビックリしている。流通からの評価も高い。独立したブランドとして育てていきたいという思いもある」(同社)というほど。

 10月5日には、ラムレーズンを組み合わせた冬季限定の『カントリーマアム まみれさんの休日』(写真④)を発売、前評判は上々だという。工場に設備を導入するなど新たに生産体制を増強しており、10月から一気に攻勢をかけていく。

ギンビス

新フレーバーで攻勢へ4ブランドで「いちご味」展開

 90周年を迎えた昨年は過去最高の業績を上げ、快進撃を続けている同社。「今は、これから先を見据えて礎を築いていく大事な時期。当社始まって以来の品数で勝負をかけていく」と、この秋冬に向けて一挙に16SKUを順次投入し、強気の構えを見せている。

 まずは、新たなフレーバーとして「いちご味」を『アスパラガス』『たべっ子どうぶつ』『しみチョココーン』『GINZA RUSK』の4ブランドで展開している。

 『いちごチョコがしみこんだミニアスパラガス』(写真①)は、ゴマの代わりにつぶつぶストロベリーシードを入れた、つぶつぶとした食感が特徴。チョコレートの口どけとともに甘酸っぱいいちごの風味が広がる。

 『チョコがしみこんだミニアスパラガス』では、あずき味も投入。昨年のあずきミルク味をベースに、今回は風味豊かな井村屋こしあんパウダーを使用している。

 発売以来好調な同ブランドを、「いちご味」と「あずき味」でより強化していく。

 『たべっ子どうぶつ』にいちごチョコレートを中まで染み込ませた『いちごのたべっ子どうぶつ』(写真②)も、期待は大きい。「いちごは子供も好きな味で、パッケージのピンク色ともマッチしている。甘いだけではなく、酸味も効いた味わいで、いつもとちょっと違う『たべっ子どうぶつ』を楽しんでほしい」と同社。

 ショートケーキをイメージした『しみチョココーン いちごのショートケーキ2021』(写真③)は、いちごの酸味とクリームのまったり感のバランスを追求し、丹精込めて作り上げた。

 『GINZA RUSK いちご』(写真④)では「とちおとめ」を使用し、より本格的で豊かな風味を追求。パッケージは鮮やかで可愛らしいピンクに彩られ、ロゴをシンプルにした分、いちごのシズル感がより感じられる、パッと目を引く華やかさだ。

 『厚焼きたべっ子どうぶつチョコビスケット』(写真⑤)は、以前発売していた時から味への評価が高く、今年3月にCVS限定で再発売したところ好評だったので、今回一般チャネル向けにも投入。油分が控えめな厚焼きのたべっ子どうぶつとチョコとの絶妙なコンビで、食べ応えのあるボリューム感と、サクッと香ばしい食感が楽しめる。