アサヒグループ食品は、3月17日付で川原浩氏が専務から社長に昇格し、新たなスタートを切った。アサヒフードアンドヘルスケア、和光堂、天野実業、アサヒカルピスウェルネスの4社を統合し、5年をかけてまとめ上げてきた尚山勝男・前社長の後を引き継ぎ、「やるべきことにフォーカスし、スピード感を持って大胆に進めていく」と就任記者会見(3月16日)で高らかに宣言した川原新社長。アサヒグループ食品のネクストステージを聞いた。
学ばない日はなかった1年
川原氏は、これまで金融業界や投資ファンドなどに携わってきた経歴の持ち主で、食品業界は初めて。入社の経緯は、「食品」に対するある思いからだ。
川原「銀行や投資会社では、価値を提供する企業をサポートする立場にいたが、今度はその価値を創り出す側になりたい、それをやらずして人生を終えていいのだろうかと本気で思った。そこで何がしたいのかと考えた時、食品というのは、二つの意味でとても大事だと思った。一つは、食べないと生きていけない。もう一つは、食べることの楽しさや喜び、幸福感。これに何度助けられたことか。人生は一度きりなのだから、食品に関わる仕事がしたい、それが出来たら幸せだと思った」
そして、2020年3月に「喜び勇んで入社」し、専務として経営に携わる一方で、生産物流を担当してきた。
川原「当社は赤ちゃんから高齢者まで幅広いシーンに価値を提供している。そういう会社は、日本では他にない。資本力のある海外のコングロマリットなら別だが、日本の食品業界では、1つの会社が出来る領域は限られている。だが当社は、様々なライフステージやライフサイクルなど、もう一つの軸を持っている。これは、やれる世界が立体的になって、とても面白いことが出来ると思った。持てる力をもう少し研ぎ澄ましたら、凄いことになる。そう想像したら、ワクワクした」
入社してからの1年間は、「学び続けた日々」だったという。
川原「新しいことを学ばなかった日は、全くなかった。頭が一杯になるほど学ぶことが多く、出来ていることと出来ていないことを考え続ける日々だった。現実がそうなっているのには、それぞれに理由がある。その問題にどう対処するか。急に〝とにかく明日からこれをやってくれ〟というのは成り立たない。強みを生かしながら弱みを補強していくことをしなければならないことを学んだ」
(次号へ続く)