妥協なきモノづくりがブランド価値を高める
技術の高さが独創的
製品を生む原動力に
明治ホールディングスの一員として明治ブランドのキャンデーやグミ、錠菓などを主に製造してきた。オリジナルブランド『Meisan』でもよく知られている。今年で創業76年目を迎える名門メーカーだ。品質と美味しさに徹底してこだわり、これまで数多くのヒット製品を生みだしてきた。中でも『パチパチパニック』(写真)は、キャンデー内部に炭酸ガスを封入し、特殊技術で生産する国内唯一の製品。
同社は、近年のキャンデー市場が低迷する中にあっても業界でいち早く「マヌカハニー」を採用したのど飴を製品化したり、地元長野・須坂市の農協とのコラボでそれまで「キャンデーには不向き」とされてきたシャインマスカットやナガノパープルといった珍しい果汁を使ったキャンデーを開発するなど独自のブランド戦略を進めることで企業価値を高めてきた。製品紹介も含めて同社の戦略をたどる。
高付加価値と均一の
棲み分け戦略が奏功
「ハードキャンデー市場は近年きわめて厳しい状況を迎えており、サブカテゴリーごとの差も広がってきています。そこで当社としてはスーパーマーケットをメインターゲットとする高付加価値製品と均一価格製品とを棲み分ける戦略をとっています。どちらの製品群ともに魅力にあふれた新製品を発売し続けることで、キャンデー市場の活性化と需要喚起に努めていきたいと考えます。
中でも好調なフルーツ系のキャンデーに力点を置き、特に売上低迷中のスーパーマーケットに対しては『均一価格製品の売場活性化』を提案しています。以前、売り場のレジ前に袋キャンデーを置いて『衝動買い』に走らせるという、とあるキャンデーメーカーの販売施策に衝撃を受けたことがありました。今後も新たな売場展開の拡大により一層注力していく考えです」(同社談)。
ライバルが多くても
強い存在感を示す力
新型コロナウイルス感染症拡大の中にあっても「Withコロナ時代」の新製品開発には余念がない。長時間のマスク着用でストレスを感じる人が増えていることを踏まえ、そうしたニューノーマル対応製品として『花のマスクのど飴』(個包装込み70g・OP)をこの3月半ばに発売した。
この新製品は「香りで気持ちを和らげる」効果抜群の機能性キャンデー。のどの痛みを抑えるプロポリスやビタミンCなどをたっぷり配合。マスクによる不快感を解消するといった「機能性」を売りにしたライバル製品が増える中、付加価値の高さで存在感を高めている。
同社のキャンデーは品質の高さと美味しさで知られるが、その秘訣は製造方法にある。連続加熱式バキュームクッカーによる複数ラインは同社自慢の設備。キャンデーの中心にペーストやパウダーを封じ込めたり、果汁や粉末、栄養成分を高配合する技術もきわめて高い。多種多様でも決して妥協を許さない徹底した「ものづくり」が高付加価値製品を生みだす原動力だ。