天乃屋の看板製品『歌舞伎揚』が発売60周年を迎えた。その節目に当たる今年のロング・キャンペーンの抽選会が、9月4日午前10時、本社会議室で実施。応募総数は7万1476通。齊藤孝喜会長、大砂信行社長にスタッフが、うず高く積まれたハガキの山から、現金5000円の当選者1千名(総額500万円)を選んだ。
『歌舞伎揚』や素材と作りのユニークさで好評な『古代米煎餅』などで好調な天乃屋にとり、今年は格別な年である。看板製品の『歌舞伎揚』が発売60周年を迎えた。併せて、一昨年から取り掛かってきた新しい福島工場(矢吹町)が竣工して稼働を開始。しかし、新型コロナ感染症が収まらない中、竣工式もできなかった。
その一方で、緊急事態宣言下の自粛生活の影響から、米菓界はどこも巣ごもり需要への対応で大わらわ。同社でも主力製品の供給に追われた。
長期に亘る、同社の恒例キャンペーンが、現在の形になって10回目の節目。『歌舞伎揚』はじめ対象商品18品のJANコード2枚を1口に、ハガキに貼って応募する。至ってシンプルな方式である。齊藤孝喜会長は、
「キャンペーンは消費者への広告という考えで、景品についても色いろ考えてやってきた。今年は、例年よりキャンペーン期間が1カ月ほど短かったことから、応募数が7万1476通で、昨年(9万4460通)より少なくなった。大事なことは継続してやっていくことで、ファンばかりでなく、新しい消費者にも浸透していく」と語る。
天乃屋のキャンペーンは毎年、半年以上の長丁場、それと“キャッシュバック”が特徴だ。今年はCP対応パッケージを店頭露出した3月初旬から8月(末日消印有効)で、応募を締め切った。
「こういう形のキャンペーンになったのは2011年から。初年はお米券。翌12年から1等にキャッシュという形になった。それで11年の応募3万031通が、12年にはグーンと伸びて7万を越えた」とは、大砂信行社長だ。
庶民派「米菓」だからダイレクトに!
洋菓子やチョコレートとは違う米菓。わが国固有の庶民のお菓子だけに、ズバリ現金がリアルに響くのだろう。今回も1等5000円を1千名(500万円)に贈った。SNSの時代になり、企業では販促に様ざまな趣向を凝らす昨今だが、大砂社長はこう考える。
「キャンペーンは消費者への感謝とアピール。販売促進の一環として今後も大事にしていく。内容や方法は変化する時代や嗜好性に沿って、考えていけば良いと思っている。製品についても同じだ。企業であるから売上は当然、伸ばしていきたい。今年『歌舞伎揚』は発売60周年を迎えたが、我われは完成された製品とは考えていない。過去もそうだし、今後も研究を重ね、消費者にそれと気づかれないよう必要な改良があればそれを加えてきた。いつでも“昔と同じでおいしいね”といって頂けるよう、クオリティを高めていかないと、“昔はおいしかったのに”といわれてしまう」と、ロングセラー製品のブランド維持に係るメーカーの使命を吐露…
【続きは5474号5面へ】
写真=発売60周年を迎えた『歌舞伎揚』キャンペーンの抽選会で。齊藤孝喜会長(左)と大砂信行社長