マツコもびっくり‼
フリーアナウンサー中倉隆道氏といえば、米菓界では知る人ぞ知る人物だ。NHKを退局し、フリーで活動する傍ら、大好きな柿の種の研究と、その魅力発信のため「日本柿ピー協会」を立ち上げ、その代表として活動している。TVやラジオで情報発信を続ける柿ピー研究家の〝柿ピー愛〟は、熱く深い。氏の発言は米菓に留まらず、広くお菓子業界の現状や課題解決にも繋がっている。
『宅飲み応援!最強の柿ピーセット』(100セット限定)
彼の存在が広く公になったのは、2017年11月13日に放送された「マツコの知らない世界」だ。柿ピー研究家として出演し、日本各地にある柿の種とその魅力を語った。
「NHKを2015年3月いっぱいで退局し、フリーのアナウンサーとしてテレビ朝日さんの深夜番組とか朝の情報番組で柿ピーを取り上げさせてもらっていた。ある日マツコのプロデューサーさんから“柿ピー”について語れる人を探している、と声がかかった。マニアという人に何人か会ったが、メジャーな亀田製菓さんの製品が好きという一般的なレベルばかりで…ということからお会いし、話しているうちに“出演して”ということになった」と中倉氏は当時を振り返る。番組では一般人が“知らない世界”=マニアックな話題を展開できる人材を求めており、氏の造詣の深さに驚き、即出演へとなったのだ。
中倉氏は自他ともに認める柿ピー大好き人間。詳しい経緯は後段で展開するが、NHK時代の転勤経験もあって、柿の種に関する視野は広く、その知識は桁外れの深さを持つ。件のプロデューサー氏がほれ込んだのも当然である。
「私も業界にいたからよく分かるのですが、マスコミ人間は数字(視聴率)が取れる王道だけでなく、ニッチなところも取り上げたくなるもの。また当時、時代というか番組の流れが“王道よりニッチ”へという方向性が凄く強くなっていた。お陰様であの番組は数字も良くて、何より亀田さんはじめ多くのメーカーさんも喜んで下さった」
殊に、大阪(池田市)のアイデアパッケージでは番組で取り上げられた『大阪 紅ショウガ天柿ノ種揚』(写真左)が大ブレイク。もともとがデザイン会社で、地域の特産品や企画商品をプロデュースしている。『紅ショウガ天』を作っては見たものの販路は開けず、当時知り合いのルートで手売りしていた商品だったのだ。それが番組放送後、問い合わせが殺到した。
「今では新大阪名物になっています。新幹線の新大阪駅構内のお店なら、ほとんどどこでも置いてある。米菓メーカーでないので、先ずは面白いものを作りたいということからスタートしていて、デザインも斬新だし、これは取り上げたいと思っていたのです」
そもそも『紅ショウガ天』と中倉氏との出会いは、柿ピー大好きな中倉氏の友人が「こんな面白いものがあるよ」と、送ってくれたことだった。食べてビックリ。
「なんて美味しいんだろうと感動してしまった。これは番組で話そう…他にも『京都 生八ツ橋風 しっとり柿ノ種揚』もありますよ。これには京都の八ッ橋組合からクレームというか、京都駅構内には置かないでという要請があり、京都では売ってはいません(笑)」
放送後のブレイクは、柿ピー研究家にとり何より嬉しく、面目躍如の手応えを感じた。
「これはほんの一例で、全国には面白いことをやっているメーカーさんが沢山ありますから、これは伝えていかなくてはと思っています。本当に、北は北海道から沖縄まで沢山のメーカーがそれぞれいろいろな特徴、ストーリーを持った商品を作っていますね。これも元祖の浪花屋製菓(新潟県長岡市)さんが特許を取らなかったお陰で、柿ピーは国内ばかりか海外でも人気の製品カテゴリーになった。そういう点で私は、こうした中小を含めた米菓屋さんたちが、米菓界の底上げをするよう、もっと宣伝をすればよいのに…という思いがありますね」と語る。
その熱い思いから氏は、個人のブログで毎日柿ピーを話題に取り上げ、また自ら『日本柿ピー協会』を立ち上げて、その代表も務め、大好きな柿ピー普及の応援を展開しているのである。
直近の活動としては、4月20日に『宅飲み応援!最強の柿ピーセット』(100セット限定)を発売し1週間余りで売り切った。
「これは私が知っている全国600種類の柿ピーの中から、5社11品を厳選して作ったセット。売価は2300円(税別)でしたが一瞬で売り切れました。コロナの蔓延でステイホームの巣籠消費です。一般チャネルメインの大手さんはどちらも大忙し。その半面、観光地など、お土産屋さん中心で売っておられる中小さんは大変です。壊滅的。それで、少しでもお役に立てればと、それぞれの社長さんにお声がけさせて頂いたのです。なかなかバランスの取れたセットになった」
協力したメーカーは三眞(千葉)、美濃屋あられ製造本舗(神奈川)、竹内製菓(新潟)、ヘルカンパニー(大分)、そしてアイデアカンパニー(東京)。セット内容の吟味では、美味しいのは当然。中倉氏の狙いはそれだけではない。柿ピー好きの研究家ならではの「柿ピー愛」が注入されている。
(続く)
【予告】
(第2回)中小メーカー頑張れ!!
(第3回)羽ばたく「研究家」!!
「柿ピー研究家」中倉 隆道 氏
なかくら・りゅうどう 元NHKアナウンサー。現在フリーアナとして活動する傍ら、日本柿ピー協会の代表、柿ピー研究家として、柿の種の魅力をTVラジオなど多媒体で発信中。