グローバル戦略について語る②
日本の龍角散から世界のRYUKAKUSANへ(全4回)
50年以上前から海外展開
龍角散の海外戦略の歴史は長く、かれこれ50年以上前に遡る。昭和20年代から台湾や韓国への輸出を開始しており、現在では他に香港、米国、タイで展開している。
決して順風満帆だったわけではない。現地の法律や原料スペックが変わったり、現地代理店の世代交代や薬事的な問題があったりと、紆余曲折は数知れなかった。
台湾は今でこそ順調に推移しているが、2015年3月に、原産地問題が突然降って湧いてきた。
「青天の霹靂だった。そんなことはないのに原産地を偽装していると言われ、台湾のセブン-イレブン全店から返品となった。そのときは、大騒ぎになって、日本のテレビ局が取材しにきた」。
すぐ誤認と分かった。非正規の流通業者が、誤った情報を発信していたらしい。
「目立つ製品は、槍玉に上がりやすい。だからこそ、問題が起きた時にはリカバリーに手を尽くす。今ではとても上手くいっている」。
こうした問題を乗り越えるだけの長い歴史の積み重ねや信頼感、ブランド力が龍角散の強みなのだ。
「簡単な話ではない。いい製品でも、現地で受け入れられるとは限らない。環境や考え方、文化や宗教も違うのだから、相手のことを尊重しなくてはいけない。こちらの考えを押し付けるつもりは全くない」。
こうした〝紳士的〟なポリシーが、海外でも受け入れられている要因の一つと言える。
温暖な気候の台湾では、冷房で空気が乾燥しており、大気汚染の問題もある。料理する時の揮発油でのどが炎症を起こしたり、辛い料理でのどがヒリヒリする時に『龍角散』でのどを潤す…
【続きは5456号3面へ】