ギリシャ神話の女神アテナは、知恵・芸術・工芸・戦略を司る女神にして、古代英雄たちの守護神であった。その姿は、現代の企業社会においてリーダーシップを発揮する女性達と重なるのではないだろうか。シリーズ「業界の女神(アテナ)たち」では、製菓業界において切磋琢磨されてきた女性にスポットを当てる。第3回目は、亀田製菓の古泉直子取締役が登場。
姉の結婚を機に入社
祖父は、亀田製菓の創業者・古泉榮治氏、父は、2代目社長の古泉肇氏。決められた道を順風満帆に歩んできたと思われがちかも知れないが、お話を伺うと、人知れず大変な思いをされてきたようだ。だが、持ち前の明るさもあって、これまでの苦労を感じさせない。
古泉さんは、青山学院大学の法学部を卒業した後、美術史を勉強するため、米国のスタンフォード大学に1年2カ月ほど留学していた。この頃は「亀田製菓は全く視野になかった」という。新潟県人にとって、同社で働くことは大変名誉なこと。家族や親戚が一緒に働いている人は、結構多いという。
「祖父のポリシーとして、会社経営に家族は入っていいけれど、兄弟姉妹は1人だけ、というのがありました」
古泉さんは、二人姉妹の次女。2歳上の姉が亀田製菓で働いていたので、「私は自由の身。これから何をしていこうか」と考えていた。それが、なぜ入社することになったのか。
「姉に結婚したい人ができて、“あなたがウチに入ってくれたら、私が出られるのだけど”と電話してきました。自分の進路も決まっていなかったし、結婚を反対する理由もなかったので、“いいよ”と返事をしました」…
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