Next Stageを語る チロルチョコ株式会社 松尾裕二 社長

連載①(全2回)

 チロルチョコ4代目社長に就任して3年目を迎えた松尾裕二氏。菓子業界や異業種の若手社長同士での交流も盛んな行動派は今、何を考え、実現しようとしているのか。就任間もなく新事業として開始した海外進出の現況や、多面的な交流から生まれる着想、新世代ならではの取り組みなど、同社の「今日」と「明日」への試みについて伺った。

業務判断できる社是を

 

 本紙 “老舗”の多いお菓子業界にあって近年、御社も含めて世代交代が進んでいます。

 松尾 お菓子だけではなく、全然違う業界の方とお会いする機会もあります。特にIT業界、いわゆるベンチャー企業の社長さんや役員の方と話して思うのは、会社のビジョンが明確で、社員一人一人に行き渡っている点ですね。最近の流行りで言えばクレド(企業活動や仕事の基準になる信条・価値観で、経営理念よりも具体的な行動指針)でしょうか。そこまでいかないにしても、自らが創業しているベンチャー企業の方はミッションがはっきりしています。それを基準にして、各事業や実作業の内容にまで、スタッフ全員に浸透している。そういう会社が多いという印象を受けました。

 お菓子業界は、昔からのファミリービジネスで経営されている所も少なくない。もちろん、その代その代で社是やビジョンが浸透している企業はたくさんあるでしょう。ただ、はたして自分はどうだったか。4代目の社長になってからを振り返ると考えさせられましたね。会社の歴史や「楽しいお菓子で世の中明るく」という社是の意味合いを、社員のみんなにしっかりと教えて共有するための時間を充分に取っていなかった、と…

【続きは5442号5面へ】

【松尾裕二氏 プロフィール】

1986年福岡県生。2009年、立教大学経済学部経済学科卒業。同年、コンサルティング会社に入社。2011年、チロルチョコ株式会社に入社。販売・開発・製造の部長を経て、2014年、取締役副社長に就任。2017年5月、同社および松尾製菓株式会社の取締役社長に就任。